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zoom RSS 「華麗なる賭け」〜そのクールな眼差しの奥にみえるのは・・・

<<   作成日時 : 2007/03/14 00:12   >>

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久しぶりに「華麗なる賭け」、つまりオリジナルの「トーマス・クラウン・アフェア」を鑑賞した。


「華麗なる賭け」  1968年 アメリカ

原題 THE THOMAS CROWN AFFAIR

監督 ノーマン・ジェイソン
製作 ノーマン・ジェイソン

主演 スティーヴ・マックィーン

出演 フェイ・ダナウェイ

 
ノーマン・ジェイスンの演出がいい。
ノーマン・ジェイソンとマックィーンが組むのは「シンシナティ」以来2度目。前回はペキンパーがおりた後に彼がつき、作品を仕上げた。

「シンシナティ・キッド」は久しく鑑ていないので詳細、覚えてないが、私はこの作品のが好きかな。テンポもよく、演出を冴える。

“風のささやき”がまたいい。やはり名曲ですね。
そして、何よりマックィーンが断然いい!

画はけっこう凝ってますね。マルチを多用し、ときおりハイスピードでも撮っています。
私の好みとして、出だし、いきなり歌そして、ストーリーの流れと無関係なバック、これはあまり好きではないのですが(個人的には「ブリット」のようなタイトルバックが好きなのですが)、肝心のストーリーの始まりはいいのではないでしょうか。
所謂つかみはOK。
共犯者5人とクラウンをマルチで描くことは大変効果的で、妙に緊迫感、緊張感そして、こちらとしても高揚感さえ感じ、まさにその画に引き込みます。

とにかくクラウン氏、マックィーンがとにかく、オシャレでスマートでカッコイイ!
子供のような、強気で熱くなる部分もあるが、重大な、肝心な点においては非常にクール。
すでに事業が成功し、多額の財産をもつトーマス・クラウン。満ち足りた安定した生活の中、スリルを、刺激を求めてゲームとして銀行強盗を楽しむ。そして目的はあくまで勝つ為に・・・。
クールな表情で指示をだすクラウン、家に金を持ち帰り、1人笑い声をあげる画が非常に印象的である。

そして、何よりキレる。
相手、つまりフェイ・ダナウェイ演じるビッキーも非常にキレる女だが、クラウンはその上をいく。
何者か不明だが自分に興味をもつ女としり、声をかけるクラウン。まぁ、ビッキーがそう仕向けのだが。
そして、スバリ直球勝負でしかけるビッキーに、決して動じないクラウン。
いきなりの“犯人の目星はあなたよ”
にも。


マックィーンのこういうオシャレな雰囲気も非常にいいですね。それは作品全体にもいえますが、まさしく華麗で、そしてなによりクールな表情がたまりません。
やはりリメイク、ピアースは好きな役者ですが、この作品には甘過ぎますね。まぁリメイクは作品自体も甘く仕上げており、あれだけ鑑る分には楽しめますが、やはり比べるとね、私はマックィーン、そしてこのオリジナルの作風、ラストが好きです。

ただ、この時代の流行なのか、スーツのパンツの丈が短いのが非常に気になります。



互いにキレる2人。この駆け引き、やりとりが面白いのだが、ビッキーは仕事の為、クラウンはゲーム。この入り方が決定的に違う。
そして、話は画的にはビッキーペースですすんでゆく。

クラウンの自宅の夜、あのチェスをやる場面。あの演出、ショットも非常にいいのだが、その前のセリフが印象的。
チェスの横にいき、それを見つめるビッキー。その彼女にクラウンが、

“Do you play?”
“Try me”

と返す。
ビッキーがクラウンにまさにゲームをしかけたのである。
そして、チェスがはじまる。この時の構成、構図、ショットがいい。
次々にしかけるビッキー、そしてそれにとまどい、困惑し、集中ときらしていゆくトーマス。その仕草、表情が非常によく伝わる。
そして、チェスに、ビッキーに負けたクラウンはまさしくビッキーのセリフ通りの行動を・・・・。

翌日、警察でビッキーは落としたと喜びをあらわにする。
“とうとうやったわ”

このチェス、本当にクラウンは負けたのだろうか・・・。
ビッキーと相対し、興味をもち、素直に負けを認め、その夜を楽しんだのかもしれない。
しかし・・・、私はその前、警察でビッキーと待ち合わせたシーン、その時のあるセリフが頭にやきついている。

冒頭で出てくる強盗の手下の1人と鉢合わせさせるが、クラウンは全く動じず、ボロをださない。ビッキーが彼の手強さを思い知るシーン。そして仕事とは思いながらも彼に興味をもつ・・・。その時のエレベーターを待つ2人の沈黙。これが強烈な緊張感を伝えてくる。
そしてそのあとにビッキーのセリフ、

“Like a ice”

これが非常に印象的であり、私につきささる・・・。


この映画、ロマンテックに感じる人もいるようだが、私は全くそうは感じない。たしかに“風のささやき”が流れ、クラウンとビッキーが共にするシーン、バギーや市場で買い物するシーンはそのような描写だが、それ以外は私は常に駆け引きを感じる。そして非常にクラウンのクールな眼差し、表情が非常につよく印象に残る。

そして後半の非常にテンポのよい展開も含め、演出的効果として、わざと、つまりフリにとれる。
初見ならばもしかしたらこう思わないかもしれない、しかし今さらである。もう何度も鑑賞している作品。先がよめているだけにその思いは余計に強い。

オフィスからビッキーに張り込みに気づいていることを明かすシーンなども計算づくで、追いつめられているとの印象をもたすが、張り込み刑事にやり返したりと楽しんでおり、別の女の存在を明らかにするなど着々とクラウンもしかける。

彼は思ったであろう。浜辺のテラスでビッキーが

“別の女性を連れてきたことあるの?”

と尋ねたとき、勝ったと。

彼女はやがて彼の心配をし始める。そして警察と取引すればとも持ちかける。しかし、警察は取引は絶対にしないと答えた。
ある夜、クラウンはベッドでビッキーに言う。もう追いつめられたよ、こうなったら、もう一度やってやると、私の葬式だと、そして最後の仕掛けを放つ。


クラウンは、最初に“目星はあなたよ“といわれた段階で、この女は非常にキレると、そしてその後の会話、そして夜、刑事が自宅に張り込んでいることに気づき、このままでは刑務所行きかもしれないと判断し、会社の引退を決め、最後の賭け、つまりゲームにでたのである。

その時のクラウンとビッキーの会話もいい。
“欺しあいも悪くない。 俺の首は・・・”
“とれると思うわよ”



ただ、クラウンは全くビッキーに想いをはせなかったのか・・・。
そうではない。彼はキレ者のビッキーに興味を持ったはずである。それがやがて・・・、彼がひとり海辺でバギーにのり、海をみつめるシーン。そこに彼の彼女への想いが、揺れる気持ちが、しかし、ゲームには負けないという最後の決断があるように感じる・・・。

そしてビッキーは仕事の為に仕掛け、近づいたのだが、次第に彼に・・・・。仕事との狭間にゆれながらも彼に惚れてしまい、これが判断を狂わせた。

しかし、別の深い、ロマンティックな読みをすれば、クラウンこそ本当にビッキーを愛したのかもしれない。そして深く想ったからこそ、真の彼女をみることができた。それは彼女は仕事を優先させる。そしてビッキーは仕事と彼への想いの狭間で揺れた。その為に、愛におぼれ、それは愛にはまったわけではなく、おぼれた故に、深くはいりこめなかった。真のトーマス・クラウンをみることが出来なくなっていた・・・。

こうとることもできなくはないが・・・。
しかし、しかし、やはり、この画からは私はそうとは思えない・・・。


ビッキーはひとり、仕事とクラウン、その狭間で揺れ、苦悩を抱えながらもやはり愛よりも仕事をやりとげようとする。そして、彼と待ち合わせた墓地に刑事たちとまちぶせする。

この強盗シーンから墓場まで、最初と最後が基本的に同じ画で展開される。そしてロールスのエンブレムのショット。これは非常にいい。同じ画がとても生きる。

ビッキーはこないでほしいと願っていた。
刑事たちには
“来るわ”
といいつつも、来てはいけない。来るはずはないと。

そこへクラウンのロールスが入ってくる。
彼女は険しい表情で運転席に近づき、
“自分の葬式のつもりなの”
そう言って車のドアを開ける。
しかし、そこには若い別の男が・・・。
“ビッキーさん?あなたに伝言です”
驚きの、つよいショックの表情を浮かべるビッキー。

その時既にクラウンは機上の人となっていた・・・・。


その若い男から伝言をわたされたビッキー。
そこには
“早く発った。
 金をもってきてくれるか、それか、そこに残るかだ。愛するトミーより”

仕事の為には違法な手段をも容赦なく使うビッキー、そんな彼女を見抜いていたクラウン。ビッキーはゲームに敗れ、結局愛にも敗れた・・・・。
ビッキーは涙をうかべながらも一瞬笑みをうかべる・・・。
そして伝言を破りすて、顔を手でおおう・・・。
このときのビッキーの思いは・・・。

まず彼女はクラウンでないことに驚き、衝撃をうける。
そして、伝言を読み、安心すると同時にそれを上回る感情で“やられた”と思ったのでは。
結局、彼女は揺れる想いの中、迷いがありクラウンを深くみれず、完全には信じられなかった。
強盗をする前の晩のクラウンと彼女のやりとりの中で、
“こういう形で私を試さないで”
“愛してないならそう言って”
と彼女は言う・・・。
 
“出来るわけないのは知っているでしょ。 嘘ばっかり・・・”
伝言をみて彼女はこう思ったのではないだろうか。



トーマス・クラウン、彼はビッキーが本当に自分を疑っていると知ったとき、彼女がキレると見抜き、手強いと感じた。と同時に興味を持ち、最高の対戦相手だとおもったのではないだろうか。そこで仕事の引退を決め、その仕掛けにはいっていった。最後のゲームの・・・。
そして、その途中、意に反して彼女に惹かれたのでは・・・。

機上の人となったクラウン。
最後の彼の表情、非常に微妙な描写であるが、深く目を閉じ、そして静かに目を開く彼。そしてうっすら笑みを浮かべる。
私は心に何か残しつつも、ゲームにはクールに勝ったトーマス・クラウンの喜びの笑みに見える・・・・。

そのクールな眼差しの奥に彼がみたもの、それは・・・、ゲームの勝利・・・。


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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰しました。

私と逆の観方だあ(笑)。
ロマンティックではない、クールなロマンス映画と解釈しました。
犯罪の駆け引きと恋愛の駆け引きを交錯させ、両者を天秤にかけた二人。いやあ、良いではないですか、甘くなくて。
さらに、青春への決別も感じたります(涙)。

どう観ても映画として良ければ良いの。
それでは、また。
オカピー
2007/03/17 02:59
TBありがとうでーす。
スケールも香気も、もちろんリメイクなど問題になりません。リメイクすること自体が暴挙。キャスティングだけで、もうダメでしたね。
時代にフィットしていたこの「華麗なる賭け」こそ永遠です。
映画貴族ニャン
URL
2007/03/17 09:35
オカピーさん、こんにちは。お久しぶりです。
正直、プロフェッサーと珍しく解釈がかなり違うのでとまどい、TBするのがちょっと怖かったのですが(笑)
私の個人的な願望があるのですかね〜、どうしてもこのように観えて、感じてしまうんですよ。それと記事のタイトル通り、マックィーンの目かなぁ〜。あれがそう思わせるのかも・・・。

>どう観ても映画として良ければ良いの。
ありがとうございます。そうですよね、とにかく良い映画だと思います。
では、また。
イエローストーン
2007/03/17 10:33
映画貴族ニャンさん、コメントありがとうございます。

私はリメイクも嫌いではないんですよ。ピアーズも好きな役者なんですよ。あれはあれでまぁいいとは思うんですよ。でも、でもオリジナルとくらべるとねぇ〜、甘っちょろすぎるんですよね〜。役者もマックィーンとではね〜。ビッキーもそうですけど・・・。

やっぱ断然オリジナルですよね。
イエローストーン
2007/03/17 10:46
ご訪問ありがとうございました。
レビューを拝見して、ビッキーとクラウンのチェスの対決シーンをリアルに思い出しました。
あの演出は上手いですねー。怪しさ満点。
ビッキーがクラウンの魅力にとりつかれていく意味で重要なシーンですよね。(^^)
PANA
URL
2007/03/22 08:23
PANAさん、こちらへのコメントありがとうございます。

ほんと、あのチェスのシーン、うまい演出ですよね。次第にビッキーはクラウンの魅力にとりつかれていってしまうのですが、2人の駆け引き、会話も非常にいいですよね。でもやっぱりなんといってもマックィーンにつきますね。ファンとしては!
リメイクも甘い展開ながらオシャレに仕上げてますよ。あれはあれでピアースはイイと思います。機会があれば是非ご覧ください。
では、また。
イエローストーン
2007/03/22 20:59
こんばんは。
以前何度か書き込みをしていただいたものです。
(こっちのブログがトンチンカンで、TBを反映できなくて申し訳ないです;)

全てを掌握した後に退屈だけが残り、それ故にスリルを求めて華麗なる賭けに挑む…というクラウンのキャラクターはカッコいいですね。
マニアックな例えなんですが、大好きなモンキー・パンチ氏のコミック『ルパン三世』(あくまでも原作)のキャラクターに通じるものを感じるので、思い入れがあるのです。

ちなみにこの名作、いまだに未DVD化なんですよね。
この記事に書かれている細かい台詞の内容の記憶が飛んじゃっているけど、ソフトがないから確認できない…というのがじれったかったです。
こんなことなら衛星洋画劇場で放送されたとき、そのまま保存しておけばよかったです(^_^;
杏仁豆腐
URL
2007/07/29 23:57
杏仁豆腐さん、コメントありがとうございます。

マックィーンのクールさがたまらなくいいでよね、この作品。

ルパンの原作に通ずる部分ですか、うん、なるほどマニアックですね、私も原作はけっこう持ってましたが、もう忘れてますね、残念ながらTVのイメージのが強いですね。

それとそう、この名作がDVDになっていないんですよね。私も久しぶりにレンタルビデオで借りて鑑賞しました。
非常に納得のいかない点ですね。

では、また。

イエローストーン
2007/07/30 21:09

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