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zoom RSS 「犬神家の一族」 犬神佐清の大罪

<<   作成日時 : 2012/02/23 15:04   >>

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犬神家の見立て連続殺人、これは犬神佐兵衛翁の遺言状が発端となる。
佐兵衛翁は、その遺言状に真実の愛をこめた。

つまり、長年の夢、想い、想念を。そして怨念を。そして最も重要な点はその怨念は至上の愛から転じたものであること。

全ては、野々宮春世への愛。



だが、連続殺人を引き起こさせた直接の原因は、ある人物にある。

これは、原作の記憶が若干曖昧な私があくまでも市川版を基本に想いを語っているのだが・・・。


それは、犬神佐清である。
彼こそが、犬神家連続見立て殺人、そして若林氏殺人事件をひきおこす原因となる。つまり、実行犯は別にいるが、彼が事件をおこさせてしまった実際の張本人である。

これは以前、

   『犬神佐兵衛翁、遺言状にこめた真実の愛 〜「犬神家の一族」』

の後半でもふれたが、あらためて記事にしてみる。


佐清の間違いは大きく二つある。
佐兵衛翁の美貌と性格を受け継ぎ、元来真面目な佐清は、戦争で自分自身のミスで部隊を全滅させてしまったことに責任を感じ、とても日本へは帰還できないと復員時に偽名を使ってしまう。それがまずひとつ。

これにより、青沼静馬が佐清のフリをして犬神家に入り込むことを許してしまう。
二つ目の間違いは、その自分のフリをして犬神家に入り込んだ静馬とこっそりいれかわろうとした点である。真面目で優しい佐清は、以前に青沼親子について聞かされており、静馬に同情し、そうしようとしたのである。さらに原作では隠密に入れ替わった後に、それ相応の財産をも与えようとしていた。

この二つの佐清のとった行動の間違いにより、あの殺人事件は起こってしまう・・・・。


佐清が焦燥・落胆しつつもそのまま普通に復員していれば、迎えにきた母・松子と逢い、なんの問題もなく犬神本家へ戻れた。
また、静馬が入り込んだ後でも、それを聞きつけた時すぐに名乗りでていれば、若林氏はともかく、犬神家の連続殺人はおきなかったのである。

そう、野々宮珠世と犬神佐清は相思相愛。
佐兵衛翁も犬神本家にて幼き頃より二人を見続け、そのことは当然わかっていた。いや、正確には、佐兵衛翁の構想、想いと珠世の想いが重なった。それを承知していた。
それがあの遺言状なのである。


表面上、法律上はアカの他人である人間、野々宮珠世への全財産・全事業の相続。


珠世に与えた選択肢、だが、珠世が誰を夫とするか、それを一番わかっていたのは佐兵衛翁自身なのである。

市川版では、遺言状は佐兵衛翁の意志により、全ての血族がそろったときに開封とされているが、原作では佐清が復員してときとされている。そして、佐清が復員しない場合は自身の一周忌に開封され、それまでの財産・事業の管理は犬神奉公会に預けると。


佐清がそのまま復員していれば、もしくは入れ替わった静馬をすぐに告発し、遺言状の開封前に犬神家に戻ってきていれば犬神家ではなにも起こらなかった・・・・・。

もちろん、ある可能性は否定できない。
珠世が独り占めした財産・事業、つまり佐清と珠世一緒になり二人のものとなり、松子婦人の望み通りなったことへの僻みや嫉妬から二人の妹が佐清さえいなくなれば自分の倅と一緒になるしかないとの想いから凶行にでる可能性。また、どうせ自分のもとには一銭もはいらないならと他の二人の佐兵衛翁の孫、または妹達の夫が・・・・。そして犬神一族への恨みから静馬が・・・・・。その可能性がまったくないとはいえない。
だが、私はやはり佐清がきちんと復員していれば犬神の連続殺人はおこらなかったと想う。

珠世と佐清が一緒になれば、ふたりはともに若き佐兵衛に似て真面目で聡明、優しい人間である。先述のように原作で佐清は密かに入れ替わり犬神の家から静馬を追い出す際にそれ相応の財産を渡そうと考えていた。珠世と佐清が一緒になれば全財産・事業は珠世のもの。だが、実際には当然、夫の佐清が犬神財閥の跡取りとなる。実際、総本家の嫡男である。そうすれば、佐竹・佐智にもきちんとしたポストとそれなりの財産を分け与えたはずである。事実、ふたりの父はそれぞれ東京と神戸の支店長であり、その後を継がせ、3人で協力してゆくことをしたはずである。珠世・佐清のふたりなら。


そうなればもちろん、佐兵衛翁も一番喜んだであろう・・・・。









いや、




本当にそうだろうか・・・・。
いや、そうではない。

私は、先に佐兵衛翁は遺言状に想念と怨念をこめたというような記述をしたが、これが正確には違う。
佐兵衛翁は至上の愛をこめたのである。

それは、佐兵衛翁の壮大なる想念。そう、想念のみ。

つまり、怨念も想念の中のひとつなのである・・・・・。


佐兵衛翁の想念、
怨念をも含んだ想念。

佐兵衛翁の第一の想いは、野々宮珠世が犬神珠世になること。

つまり、佐兵衛翁がその生涯でただひとり愛した女・野々宮春世。
佐兵衛は春世と一緒になることはできなかった。そして、春世との間に生まれた佐兵衛の真の長女・祝子までも犬神祝子として育てることはできなかった。佐兵衛は春世への生涯の愛をゆるぎないものにするために三人の妾をかこい、その三人の女が嫉妬しあう醜態を見続けることで愛情がわくのを自身で抑制した。そして、妾との間にできた子にも佐兵衛は愛情など生まれなかった。いや、それどころか憎む感情がわいてきた。
当然、佐兵衛は祝子をたいそうかわいがった。だが、犬神の事業が拡大し裕福になればなるほど、妾との三姉妹への憎悪を大きくなった。三姉妹は犬神の家で裕福に何の苦労もせずに暮らしている。それに引きかえ長女・祝子は貧しい神官の野々宮家でほそぼそと暮らしている。その歪んだ感情は怨念へと転じていった・・・。

その想いから、佐兵衛翁は春世の血を、それを引き継ぐ者を、正確には春世と自身の血、ふたりの血を引き継ぐものを犬神の家に迎えたかった。一族としたかった。それが第一。

そして、その想いと珠世の想いが重なり、壮大な想念となっていた佐兵衛翁の想いは遺言状にこめられた。

それが野々宮珠世への第一相続である。そしてそれは同時に佐清と一緒になることである。それが佐兵衛翁の第一希望である。

上記の通り、佐清がすんなり復員して珠世と一緒になっていれば、犬神家の殺人はおこらずすんだであろう。だが、それは第一目的は達成したが、佐兵衛翁の想念の全てを満足させるものでは決してないのである。

つまり、佐兵衛翁が最も望んだ結果ではない、想念の第一で、大きな部分を占めるが、あくまでも一部にすぎない。つまり怨念が、想念の中にある、至上の愛から転じた怨念が実行されない。

佐兵衛翁は、珠世と佐清との結婚ともうひとつ、自身の怨念の対象である三姉妹の自己崩壊もできればのぞんだ。つまり、三姉妹がその後も苦しみ、葛藤しあってゆくことでの自己崩壊。そして、それにより怨念から犬神家は開放され、そして、想念からも解放される。珠世と佐清の二人で新しい犬神一族を築いていってほしかったのである。それが、佐兵衛翁の真の願い、想念の実現なのである。

三姉妹がいがみ合い、葛藤しつづけてゆく。それは佐清以外のふたりの孫が叔母に殺害されること。それが一番姉妹同士での憎しみあいが大きい。佐清が珠世と一緒になることが大前提である為、他のふたりの孫を殺すのは必然的に松子である。

そして、佐兵衛翁は青沼静馬へも一番多くの財産の分与を書き残しているが、それはあくまでも珠世が相続権を失った場合である。珠世がなによりも第一なのである。自身の子であっても、孫である珠世優先、春世との血の濃さが第一なのである。
そして、静馬は佐清同様、佐兵衛の容姿と性格を大きく受け継いでいる。が、母のことで、犬神一族への大きな怨念がある。顔に大きな傷を負った静馬には余計その歪んだ感情が大きくなったはずである。その点を考えると、珠世と佐清が一緒になった場合には、やはり彼は邪魔になる。いなくなることで佐清が考えていた彼への財産の分け与えもなくなる。佐兵衛翁は、珠世に全財産・事業の相続を第一に想っていたのだから。

つまり、その点から考えると、静馬へ分け与えることもなく、他のふたりの孫に財産をわけ当たることもなくなった。
先述のとおり、珠世と佐清がすんなり一緒になった場合でも、ふたりの性格からして財産を独り占めすることはしない。事業は当然、三人の孫で協力しておこなってゆく。財産も他の孫や叔母たちが納得するよう聡明なふたりなら、それ相応に分け与えたはずである。

つまり、何度も記事で記述しているが、金田一耕助のあの言葉通りなのである。

 
 『一連の殺人事件は、佐兵衛翁がやらせているような気がしてならないんですがねぇ・・・』

 『僕はこうおもうんです。貴方は佐兵衛翁の望んだことを貴方の手で実行してしまったんですね。』


そう、松子はまさに佐兵衛翁の望んだことを実行してしまったのである。
佐兵衛翁の想念を全て、かなえてしまった・・・・・。



話を元にもどそう。
この殺人が起きたのは、起こさせたのは、その直接の原因は佐清の行動のせいである。
佐清の大きな罪である。

だが、それが佐兵衛翁の想念をかなえ、珠世を、犬神一族を、想念から解放させた。


犬神佐清の大罪。
これも、佐兵衛翁の性格を大きく受け継いだ佐清だったからこそ、とった行動だったのである。


犬神佐兵衛翁の至上の愛を、
怨念をも含んだ想念をかなえた直接の原因となったのは、佐清の行動だったのである。



佐清の大罪、それは佐兵衛翁の望んだこと、その壮大なる想念ゆえのみえない力だったのかもしれない・・・・・。















ひとつ、
なぜ松子未亡人は、いかにもともと容姿が似ており、さらには顔に大怪我を負い、識別不可能だったにせよ、最愛の一人息子を間違えたのか・・・・。

これは別に記述してみる。











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