時代屋の女房

骨董屋「時代屋」を経営する中年男のところに、ある日猫とともに若い女がやってくる。女はそのまま時代屋にころがりこんでしまう・・・

「時代屋の女房」 1983年 松竹

監督 森崎 東
原作 村松友視
脚本 森崎東 , 荒井晴彦 , 長尾啓司

出演 渡瀬恒彦 夏目雅子


ある日、銀色の日傘をさし、猫を抱いた女、真弓が歩道橋を渡ってくる。
女はある骨董屋に入る。

出会った骨董屋主人の安さんと転がりこんだ真弓はお互いにのことを話さず、尋ねない。
関係をもったあと、真弓が言う。
「私のことなら今わかったでしょ。」
真弓は話さず、きかないことが「都会の流儀」だという。

ところがこの真弓、たまにフラっと出て行ってしまう。いつも伝言代わりにつかっているレトロな電話型のテープレコーダー。
「ちょっと出てきます。あぶさん(猫の名前)のエサお願いね」という言葉を残して。

周囲では2人は夫婦同然とみている。

ところが、5回目の家出。
「さよなら安さん」
のメッセージが、
そしてあぶさんもいなくなってしまう・・・

安さんと謎の女、真弓の奇妙な関係を軸に、その街の人々の現在と過去のエピソードを人情味豊かに描く。

とにかく、渡瀬と夏目雅子がいい。
この2人でもっている映画。

脇の津川や大阪志郎などもいいのだが、やはりちょっと翳りがあり、クセのある骨董屋主人を演じる渡瀬恒彦がいい。
「時代屋の女房2」では古谷一行が演じているが、全部がものたりない。

謎の女、真弓も夏目雅子が非常にいい。名取や大塚寧々では・・・・

喫茶店のマスター、津川のキャラクターもよく、クリーニング屋を演じる大阪もいい。
その他、飲み屋夫婦や喫茶店の店員、また東北の女、その婚約者など盛り込むエピソードもなかなかおもしろく、安さんの過去、家族にふれる部分や、謎である真弓の人となり・行動の一部を青年との関係でうまく描いている。

その青年と話しをした安さん。
「別れてから(真弓は)どこいった」
「ふら~っと旅にでて、元いた自分の家に帰るって」

それは、俺のところ・・・いや、実の亭主のところか・・・どこだ・・・・

この手の映画は鑑賞して感じるものが全て。
決しておおきな揺れがあるわけではないが、なにか擽るものがある。それは人それぞれ、それが全てのような気がする。

真弓は謎の女である。しかし、彼女は淋しい。理由は不明だが、淋しい。そして、同じ淋しい人が分かるのであろう。それ故に明るく振る舞う。
そして、彷徨う。それは優しさと求めてか、本当の帰る場所をさがしているのだろうか。彼女自身、何が答えか分かっていないのでは。
ただ、彼女のいう、時代を売るポップな骨董屋さんはその帰る場所の、ひとつなのであろうか。
それは、本当の帰る場所になるのか・・・

半年前に真弓と東北へ旅をした安さん。その時に泊まった宿のいろりに立派な南部鉄瓶がさがっていた。興味をもった安さんだが、宿の主人は絶対に売らないという。
そのご主人は亡くなってしまった。その時にやはり目をつけていた“のぞきからくり”を購入する為、マスターと再度そこを訪れた安さん。実はマスターの元に真弓から電話があったのだ。

真弓を思い出す安さん、はじめての出会いで真弓が興味をもった涙壺を手にする。それは安さんの親父の後添えが安さんに泣けと渡したものであった・・・真弓はもう帰ってこないのでは・・・

親父さんが亡くなり、身よりがひとりもいなくなった安さん。マスターも借金で店をたたみ街を離れてしまった。すこしづつ街が変わっていく中、自分はひとり歳をとっていく・・・

そんなある日、あぶさんが2階の窓から歩道橋をみている。

「あぶさんっ。」
安さんは慌てて2階へかけあがり、窓の外の歩道橋に目をやる。
そこには銀色の日傘。
安さんは窓からその姿を眺めている。
歩道橋の階段をおりた彼女は、左手を高々ともちあげる。
そこには南部鉄瓶が・・・



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安さんは今回も何も真弓に尋ねない、そして真弓も何も話さないであろう・・・

私はこの手の映画が妙に好きである。何を伝えるわけではない。古くさい人情ものである。だが人の行動とその思いが非常に心を擽る。

各エピソード等の詳細にはふれません。ちょっとでも気になったら鑑賞してみてください。

最後に、みんな若い。







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