5千万は俺の金だ! ~ 「いつかギラギラする日」  邦画アクションの最高峰

神崎・柴・井村の3人組はここ数年、何度も銀行強盗をくわだて成功していた。

一年ちかく仕事から遠ざかっていた神崎は、札幌に身を置く柴からいい仕事のネタがあるともちかけられ、井村を誘い、自分の女、美里と3人で北海道へ足を踏み入れる。柴は麻衣というブッとんだ若い女と暮らしていた。その仕事のネタとは柴が麻衣とよく行くクラブでしりあった若い男、角町がもちこんだ話だった。大型ホテルの週末の売り上げの現金輸送を襲うもの。その額2億円。
この角町はロック好きで、死んだ親父の保険金でライブハウスを建てたが、内装や装飾・備品の金があと5千万たりない。そこで室蘭の  組からその建てたばかりの店を担保に五千万借りたのだが、その返済期限がせまっていた。
神崎ら4人は、現金輸送車の襲撃に成功し金を手にいれた。しかしアタッシュケースの中には予想をはるかに下回る5千万しかはいっていなかった。借金がありこの仕事を最後に足を洗えるとおもっていた井村は独り占めをたくらみ、神崎達に銃をむける。しかし、すぐに気をとりなおし銃をおろすが、もうひとり、ヤクザに返済しなきゃならない角町も独り占めをたくらんでいて、井村が銃をおろし、皆がホっとした瞬間に引き金をひいた。
神崎はなんとかその場を逃げ出すが、金は角町に奪われてしまう。そして角町の強盗の事実をしった  組、やつらは店の権利と現金5千万の両方を手にいれようと考え、角町を殺しにかかる。そこに麻衣もからみ、5千万をめぐる執拗な強奪戦が始まる・・・。



「いつかギラギラする日」  THE TRIPLE CROSS  1992年 松竹


監督 深作欣二

製作 奥山和由
脚本 丸山昇一

主演 萩原健一

出演 木村一八 荻野目慶子 多岐川裕美 千葉真一 石橋蓮司
    原田芳雄 八名信夫  安岡力也 樹木希林





大好きな作品です。
非常にテンポがいい。「9デイズ」の記事でテンポがいいと書きましたが、こちらのが上です。
アクション娯楽に徹した非常に優れた作品。この手を作らせると深作は本当にうまい!

松竹らしくないけっこうハードな作品ですが、この前後の時期は奥山が専務かな。ハチ公をしかけたり、たけしに映画をつくらせたり、とにかく勢いがあった。


冒頭の入り方、話の筋には関係ないタイトルの出し方ですが、娯楽作品としてはいいでしょう。私は非常にすきな入り方です。
クレジットの出し方、そのカット、ストップモーションの使い方、千葉真一のツボをえたその仕草の演技、正直クサイのですが、私は好きです。
画はおとなしめというか、オーソドクスに撮ってますが、たまにクサイ所や深作らしい軽快なカメラワークもみられます。そして、繰り返しになりますが、構成、テンポ、展開が非常にいい。

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そしてなによりショーケンがカッコいい。
ショーケン演じる神崎、非常にキレて、くそ度胸があり、洞察力にもすぐれ、そしてかなり無茶もするこのキャラがとてもいい。

すきなシーンはたくさんあります。

キャストクレジットがおわり、最初のシーン。
ひとりで内緒で子供を堕ろしにきた美里を迎えいき、医院からでてきた彼女のうしろからスッと隣にならぶ神崎。彼の洞察力と優しさを表現するシーン。
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室蘭のヤクザの組事務所に単身のりこみ、「頭カブだれだ!」と凄む、神崎。
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そして、組員が取り囲む中、組長に銃をつきつけ、その前で堂々と、
「ジッとしてろ」と怒鳴り、空になった銃のマガジンを替える。映画的ですが、神崎のそのクソ度胸のつよさをするどく表現していると思います。
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そして階段をおりて組事務所を去るときに、原田芳雄扮するヒットマンとすれ違うとき、ニヤリと笑う神崎。同じ臭いをお互いに感じるこのシーン、ここもとてもいい。
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神崎が銃の売人で靴職人の安岡力也を訪ねるシーンもいい。
銃の物色のついでに、長年頼みっぱなしであった靴を受け取る。それを履いた神崎が、
「おい、腕おちたんじゃねえのか」
すると力也が、
「ば~か、おめえの足が老けたんだよ」
ときりかえす。
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神崎が角町を探して、彼のみこんだロックバンドを訪ねたシーン。
ロック演奏のでかい音に耳をふさぎ、銃をぶっぱなっして言うセリフ、
「おい、日本語の分かる奴いるか!」
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ここも非常に好きなシーンである。


他のキャストもいい。

行動はハチャメチャで自分勝手な極ワルだが、純粋にロックを聴かせる場所をつくりたいと思う木村一八演じる角町。
このワルぶりがいい。結局は音楽の為だが、その金ほしさに神崎たち3人組を裏切り、つきあっている女、真衣にまで平気で引き金をひく。
そしてブっとんでいるが、結局は寂しがり屋の女、麻衣。これを荻野目慶子がまさしく体当たりで演じている。荻野目に関しては賛否両論あるが、まあ妙なインパクトがあっていいのでは・・・。
この2人の関係がおもしろい。お互いに銃を撃ち、殺そうとするが、結局一緒に行動する、角町と麻衣。角町は金の為だが、麻衣は誰かにかまってほしい。自分をみていてほしいと願う、一人では生きられない寂しい女。その寂しさの裏返しがあのブっとんだ行動をとらせ、一八と行動を共にしてしまう・・・。
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途中、二人の会話がいい。
「なんであたし達、こんなことしてるんだろう?」
「金だろうな。金っていってもただ通りすぎていくだけだけどな・・・」
「ただ、通り過ぎていくだけ・・・」
「金だけじゃねえよ、人だって何だってただ通り過ぎてくだけさ」
この言葉が真衣の心につきささる。そして彼女は誓う。一瞬でもみていてくれる人の為に何でもすると・・・・・・。
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そして神崎を筆頭とする強盗3人組。

ショーケン、千葉真一、石橋連司が演じているのだが、神崎以外の2人も非常にいいキャラで、いい味をだしている。明るく、短気な柴を千葉真一。すぐ煮詰まってしまう井村を石橋蓮司。

さらには井村の妻役の木樹喜林もなかなか根性のすわった女を演じている。
そして、楽しんで演じている感のあるヒットマンヤクザの原田芳雄。

そして神崎の女を多岐川裕美。どこか陰のある献身的な女。
神崎と10年つきあいながらも、セリフで自分自身を「寂しい女」と語る。
神崎のその根っからの性分を知り尽くしての発言である。


そしてもちろん、神崎。
金を執拗に追う。その執念がたまらない。あのしつこさ、執念にみていて私は涙が出ました。けっして金の亡者ではない。仕事の結果としての、まあ、強盗なんだけれどもプロとしての意地というかプライド、仲間をもやられてのその思いが執拗に金を追いかける。仲間の為、自分自身の為に・・・。
『あの5千万は俺の金だ!』(だれにも渡さん!!)

裏切り者はたとえ女でも平気で殺ろうとする神崎、非常にシビレます!!

神崎、室蘭の吉田組、そして角町&真衣、この3者が5千万を壮絶に奪い合う。
後半は銃撃ちまくり、カーチェイスありでけっこう派手にみせてくれる。とことん娯楽アクションとして素直に楽しみましょう。とにかくいい!
ヘタな洋画よりもダンゼン面白い!
私の鑑賞した作品の中では、何度でもみたいと思う、これを超える邦画アクションには出会っていない。単純でありながら、設定が確立されていて、感じるものが大きい。


神崎と角町の最後のシーンもいい。
角町に銃を向けるが、相手が降参の態度を示すと、とどめを刺さずに金をかき集める神崎。
角町がその姿をみてつぶやく、
「終わっちまったなぁ」
「ギャングに旅に終わりなんかねぇ」神崎がかえす。
角町は、
「ワンナイトショーだったよ、俺っちの旅は」と言ってタバコを口にする、角町。
「ねぇ、火貸してよ」
金を車に積み込んだ神崎は振り返る。
「おめめ、若いわりにはいい根性してるな」
「歳のわりにはあんたもなぁ」
ニンヤリと笑みを浮かべる神崎。角町も微笑みそして次の瞬間、互いにナイフを抜く・・・。
ひとときでも仲間として組んだ相手、その思いと、仲間に恵まれることもあるが、所詮は自分しか信じられるものがない、騙し騙されつつの非情な裏家業・・・。
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最後は警察におわれ、五千万は海の藻くずと消える・・・。


ラスト、神崎の根っからの性分を描くにふさわしいラスト。彼にはギャングこそが天職・・・。
神崎の微笑みと美里の微笑み、その意味の違いが非常におもしろい、秀逸のラスト。



             「人間は
              完全に自由でない限り
              夜ごと夢を見続けるだろう」 ポール・ニザン





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「ラストダンスは私に」、ショーケンの静かにシャウトする歌声がたまらない・・・・。



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    Excerpt: 監督深作欣二、脚本丸山昇一のアクション大作。公開時、「日本でもこんなにすごいのが作れるんだ」と、話題になったのを記憶している。今頃だけど、ビデオ借りてきた。 Weblog: 新・CINEMA正直れびゅ<ネタバレあり> racked: 2007-07-04 21:42