「配達されない三通の手紙」

山口県萩市の名家唐澤家、父は地元銀行の会長を務める名士(佐分利信)。

そこへある日、アメリカに住む会長の姉の孫息子・ボブ(蟇目良)が唐澤家を訪れた。ボブは滞在中にすむ敷地内にある別宅へ三女・恵子(神崎愛)に案内された。誰もすんでいない立派すぎるその別宅は実は唐澤家の次女・紀子(栗原小巻)が結婚して新居として住むはずの家だった。紀子は3年前に婚約者に突然失踪され、以来精神的に病んでいた。そんなある日、唐澤家から勘当されている長女・麗子から紀子へ電話がかかってきた。失踪していた婚約者・藤原敏行が麗子の元へきていると。
紀子の敏行に対する一途な、深い思いを知った父は、2人の結婚を許す。そして、自分の銀行へ勤めることと、用意してあった新居に住むことを条件とした。
2人はめでたく結婚、式もあげ、ヨーロッパへ新婚旅行もでかけた。紀子はすっかり元気を取り戻した。新婚旅行から帰った22人。順調に新婚生活を送っていたが、ある日敏行の妹・智子(松坂慶子)が唐澤家を訪ねたきた。その日から敏行の行動におかしな点がではじめる。そして、ある日、紀子と恵子、ボブが新居の敏行の書物を整理している時、ある本から三通の手紙がみつかる。それを目にした紀子。そこには、敏行が書いた、妻の発病から死までを妹に伝える内容が書かれた手紙だった・・・・。



「配達されない三通の手紙」   1979年 松竹


監督 野村芳太朗

原作 エラリー・クィーン
脚本 新藤兼人
 
主演 栗原小巻
出演 片岡孝夫
    松坂慶子
    蟇目 良
    神崎 愛
    小川真由美
    佐分利信  
    竹下景子
    渡瀬恒彦 

久しぶりに鑑賞した。もう詳細は忘れていたが、今みてもけっこう楽しめる作品である。
キャストもそこそこ豪華であるし、皆若い。
松坂慶子も痩せているし、渡瀬君も若いな~。

当然、気になる点はある。

まず、蟇目良演じるボブと神崎愛演じる三女・恵子の2人が探偵のような、特にボブが活躍するのだが、う~ん、デキすぎかな、町で遭遇する点なんかも・・・。しかし、決して複雑な部分はなく、事実を認識して紐とけば、誰でもわかることなのだが、まっ、この作品の場合、あの立場の人間でなくてはダメなんですよね。渡瀬君ではだめなんです。さらに最初から関わり、謎をとくのは。そして、設定的に考えても。
あと、画的に映画的な演出がけっこう目立つ、そこは扉を閉めておくだろう・・・と、まっ、その辺をつつくと、いつも言うとおり作品を楽しめなくなるのでね、止めましょう。全ての映画にいえることですからね。


話の筋はけっこう面白いと私は思う。
そして、役者もいいのでは。
まず栗原小巻がいい。あの後半にかけての演技はなかなか凄みを感じるものがある。そして片岡孝夫がこれまたいい。このキャラクターに実にあっている。松坂慶子もけっしてウマイとまではいいませんが、十分にそのキャラを演じています。そして、佐分利信のいつもの重厚としか言い表しようのないセリフまわし。蟇目良はあえてふれないが、渡瀬君も実に淡々と演じていていいですね。そして小川真由美、この長女が実にいい。
そして、この作品の中で、一番のおいしい役、それは竹下景子。演技はそこそこ普通であるが、実においしい役である。

まあ、鑑賞しないとどうイイのか、そしてどうおいしいのかは全く読んでいる方はわからないと思いますが、でもこれ、鑑てないですかね?ないかっ?!

内容は記述のしようがないのですが、もっとも金田一などは平気で全て記述してますが、あれは私の中ではあの市川+石坂版を鑑賞していないという想定が全くできないもので・・・・。あと他にも基本はネタバレで書いてますが、それも公開して時間がたってから書いてますので。

これほど古い映画のが逆にネタバレで書きにくいですね。自分も忘れていましたし。


真相、最後の顛末は私の好みの展開です。
そして、画面にあふれる重苦しい程の緊張感、特に紀子と智子が絡む場面、これは見応えがあります。さすが野村芳太朗監督です。

けっして驚くような、ミステリーがあるわけではありません。
ただ、人間の思いの強さというか、愛なんでしょうね。全ては。それが憎しみをも生み、復讐というカタチに転化する場合も・・・。
愛する人を思う気持ち、そう、つまり愛。これが全ての作品ですね。


その愛は様々。夫婦愛。家族愛。兄弟愛。親子愛。そして本当に強い人間は誰か、そして人間はどんな時にも強い自分のままでいられるのか・・・。固く心に決めた事を実行する強さ、それも根源は愛するが故に・・・。

そして、真実を語らぬこと、それも愛するが故に・・・。

この作品を鑑賞してあらためて思った。

さらには、全ての真実を語ることが決して正義ではないことも・・・。



事実は決して真実ではない。そしてその真実、出来事的にはひとつである。しかし、その真実も当事者からはひとつ。しかし他者からは複数の見方をすることも可能である。
いや、当事者からもひとつか・・・。その深い部分での心情を思う時に、気持ちと行動は反対ではないのか・・・。ひとつではあるが、それは表裏一体化したその心情の元、多面体ではないのか。
そんなことを強く感じた。

私は思う。
この作品の中で、当事者を除いて、真実を知っている人物は5人。当事者は当然だが、彼らは要は自分の思いを、自分のやりたいことをしたのである。ある意味幸せであると感じる・・・。
そういった意味で心を痛めた人物は真実をしっている5人。
そして、その中で特に心痛めた、心に傷をおった人間は2人。1人は無実を信じ、確信しつつもその思いの、愛の強さに共感する。心傷めながらも・・・。結局は何もしていない点を考えるとやりきれないであろう・・・。しかしそれも本人が決めたこと。それを尊重した・・・。
そしてもう1人、それは世間体との狭間で真実を決して語ることの出来ない人物、そして結局、自分の思い通りにならないながら、自分自身の責任をも認めることの出来ない人物ではないのだろうか・・・。

本当に強い人間は、自分の思いを、意志を貫くという点で、強い人間・・・、それはその過程はともかく、一つのことに全てを、自分の命すらもかけられる人間かも・・・・。


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私は竹下景子演じる新聞記者のひとり海沿いを歩く後ろ姿のショット、これが頭に焼きつて離れません・・・・。




配達されない三通の手紙



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    Excerpt: エラリイ・クイーン原作の本格ミステリーを題材に制作した推理劇。美しい三姉妹の住む地方の上流家庭で起こった殺人事件を描いた作品。出演は佐分利信、乙羽信子、小川真由美ほか。 Weblog: DVDジャンル別リアルタイム価格情報 racked: 2007-04-30 22:40
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