「皇帝のいない八月」 ~死を賭けた信念という名の狂気

「今日、父が突然尋ねてきたの。
 あなたのこと、気にしてたわ・・・・。」


政局が不安定な中、一部の自衛隊関係者が右翼政権樹立を目指し、各地で一斉クーデターを計画、実行に向け動き出す。
暗号名は『皇帝のいない八月』。
北九州舞台をまかされた藤崎は元部下をひきつれ、博多発の寝台特急「さくら」に乗り込み、乗客を人質に東京へむかう・・・。
その日、無き妻の法事で鹿児島へ休暇できていた陸上自衛隊警視部長・江見のもとに自衛隊の不穏な動きの連絡がはいる。そして行方不明のA級特定退員の中に藤崎の名があることを知り、急遽勘当した娘のいる博多をおとずれる。そう娘は藤崎の妻であった。突然の父の来訪に疑問を抱いた娘・杏子は夫のことだと悟る。そこへ藤崎の元部下から杏子へ1通の手紙が届けられる。事態を察した杏子は藤崎を捜す為、「さくら」へ乗り込む。そこには偶然に仕事で九州をおとずれていたかつての杏子の恋人・石森がやはり「さくら」へ乗車しようとしていた・・・・。

そして不穏な動きを察知した、政府、内閣調査室は動きのみえた1日中に秘密裏にことを収集すべく動き出す・・・・。


「我々は5年待った、もう待てん。
我々の愛する美しい歴史と伝統の国、日本を骨抜きにした憲法に身体をぶつけて死ぬ奴はいないのか!・・・・・
共に起って義の為に死ぬ奴はいないのか・・・・。」







『皇帝のいない八月』  1978年 松竹


監督 山本薩夫

原作 小林久三
脚本 山田信夫 渋谷正行 山本薩夫

主演 渡瀬恒彦 吉永小百合

出演 山本 圭 高橋悦史 三國連太郎 滝沢 修 佐分利信 丹波哲郎 
    永島敏行 風間杜夫 神山 繁 森田健作 太地喜和子 橋本 功 
    渥美 清 山崎 努
  


小林久三の同名小説を原作に名匠・山本薩夫監督がオールスター・キャストで描くポリティカル・サスペンス大作。

キャストはいいですね。
ストーリーを楽しむ作品ですが、その展開がまあ、シャクなんでしょうが、う~ん、あまりよくないですね。スピーディーといえばその通りです。カットや編集も目をみはるようなことろはありません。当然当時ですからね。
ただ、渡瀬の心情なりを回想で描くあたりはいいですかね。このストーリーの割にはナレーションや心情セリフの行き過ぎた多用は感じられません。また国鉄の協力は当然えられず、寝台列車はすべてセットで撮影した点はなかなかですね。

原作は読んでないですが、展開的にけっこう無理がありますね。ただこれしか描きようがないというのもわかる気がします。渡瀬恒彦演じる藤崎が主役ですが、一番おいしいのは高橋悦史演じる内閣調査室の利倉です。
そして、小百合ちゃんが渡瀬君と同等でファーストクレジットされ、出番も多いですが、なんとも不可解な役どころというか、欲しいのは理解できます。また、彼女の存在がなければ三國が生きませんからね。ただその感情の動きが理解しがたい部分は否めません。

それとその元恋人の石森。演じるのは山本圭。彼はこいいう、ある信念をもったクソ真面目な融通のきかない理屈者はうまいですね~。特にこの役のような正義感丸出しの役はピッタリ。彼の意見は庶民として、大衆として、ごもっともでひとつの間違いもないと思います。

ただ、私のポリシーとして、私の映画の楽しみ方として当然といえば当然ですが、絶対主役本意で鑑賞します。主役が警官なら警官の見方、主役が犯罪者ならその見方。これも当然、渡瀬君の見方。クーデター側での感情移入で鑑賞します。
また、武装決起はともかく、その思想的にも個人的に心響く点が・・・、やめましょう。思想的なことは極端なのでブログではできるだけ控えております・・・・(議論する気は一切ないし、読んでくれる方がひいて、いなくなると困るので(笑))。

その点からいくとこれ以上うざい男はいないですね、それがまた山本圭、うまいんですよ。


首相を演じる滝沢修、こののらりくらり振りと腹黒さ、たまらないですね。
そして当然、政界の黒幕の佐分利信、そして憲兵あがりの自衛隊幹部の三國、いいですね。

また、風間や永島など、みんな若いですね。まだアンチャンです。


また渡瀬恒彦が最高にいいですね。この狂気ともいえる熱い演技。私は彼の列車での演説にはあくまでも個人的にシビレました。(当然、現実では困りますが・・・。)



「我々日本人は、古代から道義忠誠心厚く、1億一体となって、皇室を中心とした民族国家を形成してきた。
しかるに今、どこに愛国心があるか!どこに日本固有の文化があるか!

・・・・・

自衛隊が目覚めて、真の軍隊たらんとする時こそ、日本が目覚める時である!」


「狂ってる!」
石森は吐き捨てる。


この渡瀬の演説で、
>どこに日本固有の文化があるか

この点、個人的な思いを述べると、昔、学生時代に丸山真男著の「日本の思想」を読んで、日本の伝統的思想とは、開国以来、あらゆる文化、思想をうけいれた雑居であること自体が日本人の思想であり、、その点を考慮するにそれが伝統的思想といえるのではないか、というような旨を思いを抱いたことがあったなぁ・・・・・・(もう昔でその表現が的確でない部分があるがニュアンス的に、つまり、雑居こそが日本の思想ではないかと思ったという事)。おっと、余談、余談。



調べたところによると、当初はこの藤崎の役は、渡哲也でキャスティング予定されていたそうです。が、石原プロが自社製作のTVの刑事物中心の製作だった為にそのスケジュール調整ができなかったようです(「人間の証明」も同じ理由で渡の起用を断念したとか)。
そこで、実弟の渡瀬恒彦にこの役が回ったそうです。
個人的な意見としては渡瀬君で正解だと思いますね。
また、もうひとつ、思うことは、芝居の上手下手はともかく、渡哲也は役者としていのいい時期を損したように思いますね。ただ、それだけ裕次郎に惚れ、彼に尽くす深く熱い思いがあったでしょうが・・・。


かなり映画的な画が多くみられ、所謂クサイ点もシーンによってはあります。
ただ単純にストーリー、そのう、黒幕の動きと内閣の動きなどはなかなかおもしろい。
そして米国の関わりも。
さらには首相と内閣調査室長のさぐりあい、会話、互いの牽制も。
また閣議のシーンなども、ただその場面、円卓会議でない点が失笑をかったようですが。


途中、藤崎の親友で同じく決起する山崎努演じる東上、彼と藤崎の熱い友情とその信念に命をかける想いには泣けました。藤崎が引き金を引いたあと、私はシーンと同じく、思わず敬礼してしまいました・・・・・。

しかし、なかなか楽しめるものでありながら、非常に恐ろしい内容ですね。荒唐無稽の映画だけの話と心で思いながらも、果たして実際にすべてつくりものですむのだろうか・・・。


佐分利信演じる正解の黒幕、右翼の大物がこのんで赤ワインを飲み続けます。これが重要な伏線であり、アイテムとなり、そして重要な展開につながります。


そして、当然映画だからですが、渡瀬君の味方の私は、やはり最後、彼があのボタンを押せて良かったと素直に思いました。

ただ、ここで恐ろしい点は、一番よろこんだのは誰か・・・・・。

強行突入を決めた内閣調査室、犠牲は1割だと首相に報告する。首相はそれ以上の犠牲は絶対に困ると言い、利倉は絶対に大丈夫ですと答える。
はたして本心か。

事が収拾した後の首相と利倉の会話は・・・。

内閣調査室長
「生き残った乗客全員は、それぞれ病院に収容しました。」

首相
「早くよくなってくれるといいね。」

室長
「治ってからも厳重な監視体制をとります。」

首相
「大丈夫かね。」

室長
「おまかせ下さい。」




あるデータでは強行突入の際、2割の犠牲は成功との意見もある。それはともかく、藤崎が列車爆破のボタンを押せたことを一番よろこんだのは実は・・・・。

それどころか彼らの一番願ったことは乗客全員の・・・・・。


私はこれを見るとある事件を、いや事故か、それを思い出します。
日航機墜落事故。

私は『疑惑』という本を読んでますのでね。


 『疑惑』 JAL123便墜落事故 このままでは520柱は瞑れない 

 角田四郎 著 早稲田出版


これも荒唐無稽な作り話と笑い飛ばす向きが多いですが、はたしてそうか。全てがそういいきれるのか。
事故調の報告や、飛行経路の二転三転は誰がみても不可解。
そして何故、墜落現場が夜明けまで特定できなかったか、それなのに何故乗客家族を乗せたバスが羽田を出発したのか?
機長は何故「スコーク77」を発信したか?
なぜ墜落現場にいち早くJALの服をきた人間がいたか?
現場にみられたオレンジ色の破片は?
相模湾で試運転中の未登録自衛艦「まつゆき」の存在は?
日航機のあとに小型の2機の飛行機があとについていたとの目撃情報は?
飛行機が不明になった12日の晩、ある木工会社に大量の棺桶の発注がきた。そしてそれを運んだのはまだ新聞などでは場所が特定できず、いや長野側とさわがれている段階で藤岡へ運んだと。さらには後にその木工会社は火事になり、納品伝票など燃えてしまったと・・・・。
そしてその木工所があった土地にはある人物の別荘が・・・・。


映画ですよ、ほんと映画。というよりマンガかな、ケネディの魔法の銃弾のようにね・・・。
しかし・・・。



いや~、脱線してしまいましたね、しかし、まあ信じる信じないは個人の勝手ですが、もし興味のある方はこの「疑惑」読んでみてください。紹介した点はほんの一部です。


さてさて、これも怖い映画です。
ある意味、極右のクーデター側の連中よりも、右とはいいませんが、あるひとつの思想、体制を貫くという点で手段をえらばない者は、一番怖いのはどこか、そして誰か?

三國がクーデターの計画首謀者として鈴木瑞穂演じる陸将を拷問し、その結果陸将は舌をかんで死んでしまう。最後、娘かわいさから、強行突入に反対する三國に内閣調査室長の高橋が
「公私混同もはなはだしい!」

そして、乗客の命をなんとも思わんのかとの旨の三國の発言に、

「拷問で人を平気で殺すくせに」
と高橋は吐き捨てる。

どっちもどっちだが、果たして、どちらが人間的か・・・・。


最後、頭に開頭をうけた傷をみせて車イスにのせられてくる廃人となった三國と、佐分利信の愛人役の太地喜和子の水死体が真に望んだものを伺わせる・・・。




タイトルでもあり、劇中で存在するクラシック曲でクーデターの暗号名になる「皇帝のいない八月」、これはこの映画の為につくられた曲。
キャストといい、かなりその力のいれようは感じられる。

また、松竹の契約上の問題で渥美清がほんの数カット主演している。劇中名乗らないが寅さんともとれなくない役である。


この映画、どこに真の狂気があるのか・・・。
この作品、哀しいことですが、様々な死が、死んでいく者が存在します。
信念を賭け死を決意している者、信念の元自ら死を望む者、そして謀略を裏で画策しながら決して死などのぞんでいない者、単に巻き込まれ本意でなく殺される者、愛する人の元へかえることを望みそして死んだ者、単に利用されて棄てられた者・・・。
大きな権力の前では全て同じ、違いのないただ始末しただけ・・・・・。

相手が大きすぎると、「仁義なき」の文太のセリフのようにはいかないですね、
「狙われる者より、狙う者の方が強いんじゃ。」



まあ、上記のように、画的には特にコメントする点はないが、話はなかなか楽しめる。
特撮部分やへたなシーンにツッコムことをせずに、割り切って楽しむべきである。
ただ、やはり小百合ちゃん演じる杏子、結局は藤崎を愛し彼の元へ戻る点はいいのだが、その経緯、つまり藤崎と一緒になった点という部分では・・・。そこがちょっとな~・・・・。おしいかな・・・。


画像


画像


画像


画像


画像


画像



画像







皇帝のいない八月皇帝のいない八月







──────────────────────────────────────
                      広告スペース

※グルメに関する情報(オンラインショピング・レストラン予約 等)

──────────────────────────────────────

ブログやHPのアクセスアップに!

会社でもHPを担当しているのですが小さな会社でHPのアクセス数が伸びませんでした。そこでサーチエンジン登録をしリンクを増やすことを試みました。かなりの数へひとつひとつ登録し、時間的にも1ヶ月以上はその作業をしていました。
おかげで、会社HPは、特定の関連語句でグーグルで今は1位に検索されるようになりました。

しかし、ひとつひとつの登録は時間があればいいですが正直手間がかかります。
一括登録できれば楽ですね。
それが可能なソフトの情報です。



【数分の作業で最大4000もの検索エンジンに一括登録申請】検索エンジン一括登録ソフト「けんいち」


──────────────────────────────────────


再販権利付サーチエンジン一括登録ドリーム2 数百サイトに一括登録!登録先検索エンジン3000個付登録カテゴリを自分で選択・大量に一括登録が可能・初心者でも簡単操作の一括登録マシーン!



──────────────────────────────────────


誰もが知ってるあの場所で、【初めてでも即収入を稼ぐ方法】&【1ヶ月で752万円以上を継続して稼いでいける仕組み】を提供する驚きの大全集





──────────────────────────────────────


テリー伊藤氏も「あ然!」とした年収5160万円本の著者川島和正の最新作「パソコンど素人の主婦やサラリーマンが1日20分の片手間副業で月収273万円をらくらく稼いだ方法  ~7DAYSプログラム~」





──────────────────────────────────────


1円も使わずに年間190,000マイル獲得する方法




──────────────────────────────────────
アダルト情報







あの頃映画 「皇帝のいない八月」 [DVD]

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのトラックバック