そろった3つの条件、それは鬼頭嘉右衛門 の執念・・・  「獄門島」 1977年 東宝

「俺が戻らなければ、3人の妹たちが殺される・・・」

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鬼頭千万太は復員船の中で、金田一の友人・雨宮に妹たちをたすけてくれるよう頼みこの世を去った。病気倒れた雨宮は友人・金田一耕助にその旨をたくした。

金田一耕助が獄門島へ渡る日、港では獄門島の寺の釣り鐘が鋳つぶされず戻ってきて船に積まれていた。その様子を眺めている、島の寺の和尚・了然、荒木村長 、漢方医幸庵 の3人。島ではその日、鬼頭の分家のひとしの復員をある復員兵から知らされていた。その3人に金田一は声をかけ、了然和尚に鬼頭千万太の病死を告げた。おどろきの反応をする村長と幸庵。和尚はただ黙り込む。

そのまま釣り鐘と共に村人と一緒に獄門島へ渡った金田一耕助。
島民全てが海賊か、流人の子孫で、封建的な古い因習の残る孤島で、島の漁師たちの元締めである本鬼頭と分鬼頭が対立していたその島で、その日を境に、凄惨な連続殺人事件が次々と巻き起こり始める・・・。

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1977年 東宝

監督:市川崑
脚本:久里子亭

主演:石坂浩二



「犬神家の一族」(角川)・「悪魔の手毬唄」(東宝)に続く、市川崑・石坂浩二コンビによるシリーズ3作目。

原作的にみると、「本陣殺人事件」につぐ金田一耕助2番目の事件。(厳密にいうと後に書き加えた獄門島の前日談の「百日紅の下で」を含めると3番目の事件となる)

原作的にいうと、再び現れた風来坊。
見立て連続殺人の元祖である。

この映画は原作と犯人を一部変更している。また、原作を読んだのがかなり前なので、不確かだが、司葉子の役・勝野も原作にはなかったように記憶する。また、原作では早苗に金田一が好意をもち東京へ誘うくだりもある。

また私が一番不思議に思うのは、原作では鬼頭千万太の戦友は金田一耕助自身で、彼が復員船の中で直接千万太から妹たちを助けるよう頼まれる。しかし市川崑は友人・雨宮という人物を途中に存在させた。金田一を戦争に行った設定にしたくなたかったのだろうが、その意図がはっきりとしない。

キャストは相変わらず素晴らしく、雰囲気も漂い、やはり本編である。
先日録画しておいたものを鑑たTV版の上川の「獄門島」とは比較にならない。


金田一は花子・雪枝が何故不思議な手間のかかった殺され方をしたかに疑問をもつ。また、花子殺害現場で和尚が言った、

「きぃちがいじゃが仕方がない」

この言葉がずっとひっかかっていた・・・


最初の島へ渡る港でのそれぞれの人物の表情、そして和尚、勝野の目線、そして全編にいえるが金田一耕助の仕草と表情、いつものすばやいカット割りが目が離せない。

一人の海賊が島へ流れ着き絡んでくるが、死体で発見される。次第に真相がわかりはじめた金田一はその海賊も真犯人に殺されたと思う。
そして、誰かをかばい奇妙な行動をとる早苗との会話の最中、電線にとまるすずめの数から俳句が絡んでいると金田一は気がつく。そして、宿として借りている寺の枕元にある屏風の3つの俳句を思い出す。それは鬼頭嘉右衛門 が書き写した句。急いで寺へ戻る金田一。しかし枕もとの屏風は和尚によって片づけられていた・・・

鶯の身をさかさまに初音かな (宝井其角)
むざんやな甲の下のきりぎりす(松尾芭蕉)
一家に遊女も寝たり萩と月  (松尾芭蕉)

島の床屋の旦那が俳句好きで詳しいと知った金田一。おとずれた床屋で3つの俳句をしり、トリックが俳句であると気づく。そこへ床屋の娘のお七が妙な話を客から聞いたとやってくる。
「おとっつぁん、釣り鐘が動いたんだって」

島に戻ってきた釣り鐘は天狗の鼻に運ばれていた。そこは雪枝が鐘の中に入れられ死体と鳴って発見された場所。
金田一は警部竹蔵 と連れ、天狗の鼻したの海へでる。そして海へもぐった竹蔵がみつけた紐。重りを切り、引き上げると海から張り子の釣り鐘が現れた。金田一耕助は全ての真相をつかんだ。

舟から天狗の鼻を見上げる金田一。本物の釣り鐘の横には 了然和尚が立ちすくんでいた・・・


了然和尚 、警部、清水巡査の前で事件の真相を語る金田一耕助。

警部が言う、「狂っとる、この島の人間は狂っとる」

全ては亡者の執念。殺人は犯人の意志ではない。鬼頭嘉右衛門 の意志であった。そろった3つの条件・・・、それは嘉右衛門の憎悪いや、哀れなまでの執念がよんだ結果・・・
「俳句に見立てて、3人娘を殺してくれ・・・頼んだぞ、和尚・・・」

見えない力に動かされ・・・

動機、きっかけはそうであったろうが、実行の際、100パーセント嘉右衛門の意志であったのだろうか?そこに和尚の意志はかけらもなかったのか?

金田一耕助はこう言う、
「和尚さんも所詮島の人間だったような気がします。」・・・

しかし、和尚が殺したのは花子と海賊だけであった。月代と雪枝は・・・

さらに真相を続ける金田一。金田一の最後の疑問、それが早苗のかばう人物、そして嘉右衛門との関係は・・・

最後の疑問はともあれ犯人が判明し和尚が自白したとき、村長がとんできた。
「和尚!ひとし君の戦死の公報が役場に入った!」ひとし復員を知らせた戦友は復員詐欺だった。

崩れ落ちる和尚。

金田一に和尚は、本鬼頭へ行くように頼む。全てを打ち明けたあとに。
そこには親の愛情が絡んでいた・・・

早苗と勝野いる本鬼頭に現れた金田一。2人に和尚の自白、和尚が全てを知っていたことを告げる。

勝野は、「喉がかわきましたなぁ、何か冷たいものでももってきましょか」と席を立つ。
金田一耕助はあわてて立ち上がり後を追おうとするが、すぐに立ち止まり無言で見送る。

勝野は姿を消し、寺にいた和尚までも。
そのことに周囲が気付いたとき2人はすでに断崖絶壁の上にいた・・・



金田一耕助が島を去る日。港に見送りにきた清水巡査、お七、竹蔵。早苗の姿はない。

舟がでてゆく。手を振り別れをつげる金田一。その時、寺の鐘が鳴る。ついているのは早苗であった・・・

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金田一耕助のヒューマニズム。全開・・・








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    Excerpt: 最近日本映画は、あまり観ない・・なんて以前の記事で書きましたが、好きな作品は、やはり好きなんですよね。 最近スカパーの日本映画専門チャンネルでOAされているので、よく観ているのが市川崑監督の金田.. Weblog: mints life racked: 2006-11-04 21:09