罪の街に棲むの人間の、光と影の叙事詩・・・。「シン・シティ」

「シン・シティ」　　　２００５年　アメリカ

監督　フランク・ミラー　　ロバート・ロドリゲス　　クエンティン・タランティーノ
製作　ハーヴェイ・ワインスタイン　　フランク・ミラー　　 ロバート・ロドリゲス
脚本　フランク・ミラー　　ロバート・ロドリゲス
原作　フランク・ミラー

出演　ブルース・ウィリス　　ミッキー・ローク　　クライヴ・オーウェン　　ジェシカ・アルバ



これはシン・シティという罪の街に棲む人間、その人間たちを一つの民族とした光と影の叙事詩ですね。
哀しいまでに信念を貫き復讐に燃える３人の男たち。
鑑賞して非常に感激しました。友人から“アメコミ好きなら大丈夫だよ”と言われていたのですが、大丈夫、久々に画と内容に夢中になりました。
その美しさと執念、そして鑑賞していてハードな描写はあるもののストーリー的に非常にスカッとしました。ハードなものが大好きな私にはピッタリの作品。

悪質な、見づらい画の飽きる、程度の低い映画などの酷評がめだちますが、私は大変楽しめました。

貫く正義や信念、それはあくまで単純で融通がきかず、哀れささえ感じる。そして何故？と・・・。
その単純な思いこそ、深い理由となり、愛となり、執拗な、そして激しい復讐劇につながる。
これが男の美学・・・。

モロクロの、光と影、その陰影が非常に美しい。アングルやカット、そして構図もなかなかいい。そして時折使うカラーが非常にアクセントとなり効果的である。

途中のアクションも正にアメコミそのもの。単純に割り切って楽しむべき。
そして脇のキャラクターも面白く、全体的な雰囲気、そのトーンに合った深み与えている。
そしてハードな描写もモノクロならではの効果で残虐性を最大限に押さえ、美しささえ感じる。
そして、オープニングは別として主軸は３人の男のオムニバス形式で話しが進むが、非常に主人公に感情移入しやすく、そしてまっ、キレイに関連づけまとめている。本もうまいと思います。

苦手な人は全くうけつけない画であり、話であり、ハードな場面もただのエグいバイオレンス描写でしか見られないでしょうね。

しかし、そこに男達の、つまりナレーション形式での展開で、常にしゃべっているイメージですが、基本的に人物そのものは寡黙で、口数は多くはない、その無口な男達の復讐への思いの深さが、そのハードな行動に、その描写に表れているのです。

ブルース・ウィリスの話もよかったですね、最初に犯人を追い込んだときに躊躇なく銃弾を撃ち込む姿にはシビレました。そして最後の決断も。しかし、個人的にはミッキー・ロークの“ゴールディ”の話が非常に好きです。自分への“天使”、動機どうであれ、己のその深い思いの為に復讐に走る。一番、夢中にそしてあのキャラクターに非常に心を奪われました。
彼のセリフ、
『最近の車はどれも電気カミソリにみえるぜ』
がいい。

そして冒頭のあの短いシーンもとても綺麗で美しい、そして旋律がはしり、とてもこの作品に惹きつけられるシーンでした。

最後の終わり方も非常に私の好みですね。

ストーリーの詳細には触れません。すこしでも興味がある方はとりあえず鑑賞して下さい。
それでキライならしょうがない。

私は初見でしたが、すぐに続けて２度目を鑑ます。鑑なくてはいられない・・・・。
今後もこれは時たま鑑賞したくなる一本にリスト入りです。

シン・シティ プレミアム・エディション