「真夜中の招待状」~あるひとつの夢によばれて・・・

圭子は、精神科医の会沢医師を訪ねた。フィアンセの樹生がノイローゼ気味な為に。

樹生は男ばかりの4人兄弟の末っ子なのだが、3人の兄たちがあいついで、失踪したのである。それも真夜中に突然に・・・。



「真夜中の招待状」  1981年  松竹

監督 野村芳太郎

原作 遠藤周作

主演 小林麻美
出演 小林 薫
    下條アトム
    米倉斉加年
    渡瀬恒彦
    藤田まこと
    高橋悦史


過去に2回くらい鑑賞してますが、もう15年以上前ですね。内容の詳細は忘れていました。
私はなかなか面白いと思いました。

前半から中盤まで非常にミステリアスな内容で非常に興味をひきます。うまく話の筋に引き込んでゆきます。


ある友人のパーティの席上、樹生に電話がかかってくる。それは2番目の兄・和生からだった。もっどた樹生の顔色が非常に悪い。心配して訪ねた圭子。3番目の兄が失踪したという。真夜中に突然。それは兄弟では2人目だった。以前に長男がやはり失踪していた。
なにか理由があるのか、それとも偶然か。
和生、樹生、圭子は不安になるが、自分達はそんなことはないと、確認しあう。
しかし、後日、今度は和生がやはり夜中に失踪してしまう・・・・。

不安におびえ、ノイローゼになる樹生。それを心配した圭子が精神科医・会沢を訪ね、共に樹生の治療をすると共に、その失踪の謎、真相を調査しはじめる。

精神科医が絡むことによって、作品のミステリアスな部分がうまく膨らまされています。サイコ的までとはいきませんが、ある物から霊的な要素、場面も絡み、ストーリーの展開上、人間の深層心理的な部分、潜在意識にもふれています。

ある夢が、その夢の風景がカギとなり話がすすみます。
夢、それは人が自分では気がつかない内にこれから先に起こることを予見していることがある・・・。
人間の心理の奥にある防衛本能、あるいは潜在意識か。
それにより、覚醒することも・・・・。
そして現在は禁止されているサブリミナル効果にもふれています。

また、この兄弟には関係のない女性の存在、彼女が絡むことによって、妙に事件がつながり、展開します。若干強引というか、無理な感じもしますが、要は、人間の精神的な部分、心に刻まれたつらい過去、現実による心の闇。つまり深い、真っ暗な海。そこには何があるかは自分でもわからない。これが全編に関係してきます。

現実的なオチというか、結末になるのですが、和生に関しては、ミステリアスな部分、その失踪結びつく段階で、兄弟間の不思議なつながり、これが潜在意識とはちがいますが、その人間がしらない事実が、自らの心の中に存在して、見えてくる。これはその他の人間、つまり兄の心の叫びが、それが彼の潜在意識を刺激したのだろうか・・・・。


前半から中盤のそのミステリアスな内容が、当然ながら最後は現実的な結末におさまる為、尻つぼみ的な印象を、「なんだこの結末」は、非常に中途半端なミステリーだと思う方もいるようですが、私はそうは感じません。うまくまとめたなと思います。
つまり、このような現実的な結末におさまらないと私は納得できません。特に霊など一切信じない私は。
関係ないですが、リングのようにテレビの画面から人だか、霊だか、化け物だか知りませんが、でてこられては。恐怖などより、ガッカリして失笑してしまうんです。そして叫びたくなる、
「そんなことあるか~!画面から人は絶対にでてこない!」と。
テレビが勝手につくのはいいですよ、電話が突然なるのもまだ許します。でもテレビの画面からなにかが出てくる、漫画か!(タカトシ風に)
これは映画的なことと私は決して割り切れないのです。私の許せる、そのミステリアスな、いやオカルト的な部分の許容範囲をこえています。そこまで持続してきた緊張感がはじけとんでしまう。
まだ、偶然が百もかさなったほうが、割り切れる。
おっと、話を戻しましょう。その点、この作品は変な、一部奇妙な部分はあるものの、すべて現実的な行動と理由があり、非常にその結末に満足いくものでした。

その点、遠藤周作の原作があるおかげか、非常によくまとめれれた本だと私は思います。

役者陣もいいのですが、肝心の主演の小林麻美、彼女のせりふまわしがなにか一本調子でね・・・・。


精神科に通う藤田まこと演じる患者、これはまあ、この絡め方はいいのではないでしょうか。
人間の心、深層心理に深く刻まれたある衝撃の大きな出来事、傷。それは一生その人間を蝕みつづける。
そして、ラストでの精神科医の手を組むシーン、非常に皮肉な、現代社会の実情を痛切に訴えるショットですね。これは彼があくまでこの件には客観的な立場でいたにもかかわらず、自分では意識していないながらも、この件に関わった結果でもありますし、社会への、いやそこに生きる人間全員が抱える問題を表現した画に感じます。
優しく微笑んで圭子の後ろ姿を見送る精神科医、この画がとても恐ろしく、虚しく感じる。これが所詮、現実。
そして、彼の手をみて気がついた圭子、急いで立ち去る彼女、おそらく彼女も無意識に同じことをしたことが・・・・。そして今は・・・。
彼女はとりあえず現実をみた、自身の深層心理は、深い海の底は見えずとも、つかめずとも、目の前は、今の現実は見えているのだろう・・・・。

あと、もうひとつ、野村芳太郎監督、やってくれますね。この作品、鑑賞するとコーラが飲みたくなる人がいるのでは・・・・。

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    Excerpt: 遠藤周作原作の「闇をよぶ声」の映画化。失踪したフィアンセとその兄弟の謎を追う一人の女性の姿を描いた作品。人間の深層心理と存在の本質に迫る都会派ミステリー。出演は小林薫、小林麻実、高橋悦史ほか。 Weblog: DVDジャンル別リアルタイム価格情報 racked: 2007-06-12 17:08