史上最弱 香取版「座頭市」  弱い市はみたくない・・・・・

座頭の市は、盲目ながら居合いの達人。
それが・・・・。


阪本順治、この人はどうも私は相性が悪い、というか好きになれない。

「イージス」も、「仁義なき」も「傷天」も最悪だった・・・・。



やたら斬られ、

“すいません”

を連呼する座頭市に何の魅力も感じない。


まず、その見所であるはずの殺陣がまるで・・・・。

雑というか、リアルといえばリアルだが、迫力はないし、リアルのわりにはのど元を斬られてばかりで血しぶきはとばず。

ただ、転げ回っているだけで、殺陣ではない。

う~ん、スパッと斬るシーンが皆無。
分かりますかね~、いいたいこと。
何を求めて鑑賞するか、座頭市を・・・・。

あっ、そういえば前半で仲代が手を斬りおとしてましたね、あれはスパッか。
ただ、いかに大悪党、不気味な親分で大御所が演じていようが所詮は脇役がスパッとやっても、
それだけではしようがない・・・・。




う~ん、予備知識なしで、LASTのタイトルの意味を忘れていた私自身が悪いのか・・・・。




人間関係の描写も全て中途半端で、すべての関係を放り投げてそのまま。

また、我慢をかさね耐える描写は全ては最後に怒りを爆発させる為かと思いきや、それも消化不要。
鑑賞者に欲求不満をあたえるのみ。


始まるかとおもえば始まらず、何気なく始まる斬り合いに拍子抜け。

こう、何というのだろう、行き過ぎても興ざめするが、ある程度の映画的な演出というのは必要であると感じる。
この手の作品には。

89年の勝先生の座頭市のように、大樽が転がってきて、それを斬ってその中から現れなくてもいいが、
ある程度見せ場がないと・・・・。


たんたんとゆく、市川準の作品や、武のサーフィンの映画は私は大好きなのだが、この手の作品には・・・・。



寺島の斬りかかるシーンもその感情の爆発どころが理解できないし、画的にも、仲代との斬り合いで消えたあとに奥に展開しているシーンも理解できない。

家の中で斬り合っているのに、そう障子や柱をスパッと斬ってもいいような気も・・・・。


また、最後に仲代も、きちんと殺陣で、斬ってほしかった。
つまり、その描写がほしかった、座頭市らしく。

とにかく、理解不能な展開と演出と画・・・・・。



みられたのは、冒頭、妻と市が刺されるまで。

これもこれが最後で、遡るのかと思いきやそうではなく、そのまま始まる展開。


また、その刺されること自体も、いかに愛する女との抱擁時であろうとも市らしくない。
変わろうと想えでも、意に反しても、反応し、斬ってしまうのがその業ではないのか・・・・。

とにかく、市が弱すぎる。斬られすぎる。


盲目だからあたりまえでは、市ではない。





多少好みだったのは、冒頭の竹やぶの中の遠目の画から斬る瞬間によるその画と、終盤の市と賠償の雪の中の影絵のようなシーン、あれは綺麗だった。

遠目の画を割らない、長まわしだけ。



とにかく、斬り合いの始まりどころがわけがわからず、始まるかと思えばはじまらず、左右に分かれた道がいつのまにか一緒になるという訳の分からない展開に不満と疑問と怒りとイライラがつのるばかり。

そして、結局、だれも残らない中途半端な描写。




賭場で市らしい描写がようやくあり、明かりを消して場を暗くし、全てを斬りすてるかとおもいきや、そう、始まるとおもいきや、次の場面では表へ出てしまう。

暗くした意味がわからない・・・・。




キャストはいいのにね~。

ただ、仲代の台詞回しも妙に苛つくし、はまっていたのは倍賞智恵子位か・・・・・。



久々にひどい邦画をみてしまった・・・・・・・。




というか、もともと描こうとしていることがね・・・・。
斬れない市に、描写の魅力はない。


要は愛の勝利ということなのか・・・・。
愛とは、市を市ではなくさせる、いや、黙って斬られることを、死にゆくことなのか・・・・。

描いてもいいが、最後は、最後は、その想いに反しながらも、所詮はやくざな渡世人。
意に反しながらもゆきつくとは同じ道。

斬りたくなくとも、斬ってしまう。

そして、意に反しながらも、最後は立っている、それが市ではないか。





その中で、その市らしい中で、描けなかったのか、その苦悩と愛とやさしさを、彼という人間を。
哀しを、その背負った深き人間の業の哀しみを、活劇の中で描けなかったのかっ?!

特に殺陣がひどく、その斬られる痛み、斬る哀しさが全く描写されず、美しさがない。
ただのドタバタ。

感情を殺陣で表現できていない。
殺陣とは美しくなくてはならない・・・・。

そして、これほど緊迫感のない、ダラダラの殺陣故に全体がしまらない。
何も残らない無を、地獄を表現したかったのかもしれないが完全に失敗。
その無が、全ての人が斬られてしまうこととはあまりにも能がなさすぎる・・・・・・。


ジメジメと湿った梅雨前線におおわれたその全編には、お涙頂戴の緩い流れしか感じさせない。



居合いを捨てた、仕込みを捨てた市は・・・・、
結局それが描きたかったのか・・・・・・。

妻の敵もとらず、己をすてるのが愛なのか・・・・・・・。
愛する者の為に変わろうとするのは理解できるが、それを失ったあとの決意の程、その真意がどちらに向くのか、それがあまりに緩すぎる・・・・。
その程度の想いだったのか・・・・・・・。

いや、これは最愛の人を失った大きな哀しみの中に迷走する姿なのか。

それにしては、
私には意に反した業を描いているとも到底感じられない。


普通、淡々とした流れには静かな狂気や恐怖を感じ取る冷たさや画の乾きを感じとりやすいのだが、
とにかく、画の緩さと、あらゆるものが中途半端でその感情に深く入り込めない・・・。


主役絶対本意でその作品に入り込む私が、その主役の心の動きがよめない、これは最悪である。

というか、本来、この手の活劇はそのような必要性がないのが通常である。


作品の主軸がブレており、そのキャラ、元来のものと新しいものが完全に融合されておらず、
活劇にもならず、ラブストーリーにもならず、人間の業も描けず、バランスが悪く、
とにかく中途半端の一言。


私がいつも言う、鑑賞時のバランス感覚。
臨機応変に作品に対応する見方が、座頭市という私の中で完成されているものには、それが通じなかった。


つまり、純愛座頭市なるものは、成り立たず、私には受け入れられないということです。



いろいろと深いものを感じ取っている方もいるようだが、私は全くその世界に入り込めばこむほど、
心の動きが理解できず、単純に楽しむこともできず、とても何かを感じるとることは、
感じることは、

“つまらない映画”

それだけである・・・・・・・。









この監督はどうしても私は評価できないし、男の世界を、そして、活劇やアクションを撮る監督ではない・・・・。

小津や市川準のような作風、そのような作品ならいいのかもしれない。







市が何度も口にする台詞、

“すいやせん”


は、鑑賞者に向けてのものであると理解する次第・・・・・。



画像







あ~、ツボをえた演出とはこの手の作品の為にあるんだろうっ!

とにかく、弱い市はみたくないっ!!



活劇はね、スカッとしないと・・・・・。
求めているものがハナから違うようで・・・・・・。








これじゃ、仕込みも泣いてるぜ・・・・・・。











それと、個人的に、

 “完”

の文字がでたあとにクレジットをだすのは好きではない。

この場合、クレジットは最初にすべてすませておくべきである。






※だめだ~。

  思い出せば思い出すほど、不満が追記される・・・・・。







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